役所や会社の手続き、あるいは何かを申込・契約するときなど、日常生活においてハンコを求められる場面は多くあります。
そして、手続きや契約関係で取り交わす書類には、必ずと言ってよいほど「シャチハタ以外のハンコをお願いします」という一文が入っています。
なぜ、シャチハタを押してはいけないのか?
本記事では、シャチハタと印鑑の違いおよび正しい使い分け方法について解説しています。
【比較表でわかる】シャチハタと印鑑の違い
シャチハタと印鑑の大きな違いは、「朱肉を使うか使わないか」です。
印鑑は全体が硬質の素材(木材、動物の角や牙、金属など)でできており、捺印時に朱肉を使います。
シャチハタは印面がゴム製で、本体内部にインクが内蔵されているため連続押印できるのが特徴です。
そのほかの違いについては、下記の比較表をご覧ください。
シャチハタと印鑑の違い【特徴】
シャチハタと印鑑の違い【特徴】 | ||
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見た目 | 印鑑 | シャチハタ |
紙に押すとき | 朱肉をつけてから押す | 朱肉やスタンプ台不要で連続押印できる |
材質 | 木材・動物の角や牙・金属など | 印面は柔らかい多孔質ゴム (インクを通すための小さい穴が空いている) |
押印に使用 するもの |
朱肉 (朱色の顔料にひまし油、木蝋、松脂などを混ぜたもの) |
顔料系のインク(インキ) |
所有できる 本数 |
実印は一人につき1本 銀行印・認印は何本でもOK |
何本でもOK |
シャチハタと印鑑の違い【用途・効力】
シャチハタと印鑑の違い【用途・効力】 | ||
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使用用途 | 印鑑 | シャチハタ |
公的書類や法的拘束力のある契約・取引書類に使用 | 荷物の受け取り、身近な書類への確認サインとして使用 | |
法的効力 | 法的効力が高い | 法的効力が低い |
意思証明 | 押印で本人の意思を証明できる (1つの印鑑に対し、同一の印影は存在しないため) |
意思証明にはならない (大量生産品のため、同一の印影が複数存在する) |
シャチハタと印鑑の違い【作成内容】
シャチハタと印鑑の違い【作成内容】 | |||||||||||||||
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書体 | 印鑑 | シャチハタ | |||||||||||||
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※シャチハタの書体(フォント)は全10種類あります。 楷書体・行書体・隷書体・古印体・明朝体・角ゴシック体・丸ゴシック体・てん書体・勘亭流(ネーム印限定)・クラフト墨(ネーム印限定) |
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サイズ |
●男性に選ばれるサイズ ・実印:18.0mm、16.5mm、15.0mm ・銀行印:15.0mm、13.5mm ・認印:13.5mm、12.0mm ●女性に選ばれるサイズ ・実印:16.5mm、15.0mm、13.5mm ・銀行印:15.0mm、13.5mm、12.0mm ・認印:12.0mm、10.5mm ※印鑑の種類によって選ばれるサイズは異なります。 |
・定番サイズ:9mm、9.5mm ・小さめサイズ:6mm、8mm ・大きめサイズ:11mm |
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刻印内容 | 男性はフルネームまたは名字 女性はフルネームまたは下の名前※での作成が一般的 (※女性は結婚・離婚で名字が変わることがあるため) |
男女ともに名字のみが一般的 |
普段、私たちが「シャチハタ」と呼んでいるハンコには、正式名称があることをご存知でしょうか?
本来の名前は「X(エックス)スタンパー」といい、「シャチハタ」というのは商品を製造・販売しているシヤチハタ株式会社※から来ています。
なぜ、「Xスタンパー」ではなく「シャチハタ」と呼ばれるようになったのでしょうか。
理由としては、発売当時に社名のシヤチハタ※を大きく宣伝したことにより、商品名よりもシャチハタの方が人々の印象に残ったからというのが定説です。
(※社名表記はシヤチハタ株式会社)
参考:NTTコムウェア 『COMZINE(コムジン)』|シヤチハタ Xスタンパー ニッポン・ロングセラー考 -
「シャチハタ不可」と言われるのはなぜ?
役所への届出書類や、契約書などの重要書類に「シャチハタ不可」と注意書きがされている理由について解説します。
シャチハタを使用できない理由としては、以下の3つが挙げられます。
理由① 本人が押したと証明できないため
理由② 印影の形が一定ではないため
理由③ インクを使用しているため
理由① 本人が押したと証明できないため
書類に押印が求められる理由は、本人が書類の記載内容を確認・承認したことを証明するためです。
印鑑の場合は、同一の印影がふたつとして存在しない※ため、押印が本人の意思表示になります。
一方、シャチハタは大量生産品で同一の印影が複数存在することから、「本人が押した」という証明性に欠けるため不可とされています。
※機械で大量生産された「三文判」は、同じ印影が複数存在することから証明性が低く、書類の提出先によっては不可とされる場合があります。
理由②印影の形が一定ではないため
公的書類や重要書類に残す印影の形は、常に一定でなくてはなりません。
そのため、シャチハタやゴム印のように、押すときの力加減や使用頻度・劣化により印影が変形するものは、行政機関・企業では認められていません。
理由③インクを使用しているため
インクは朱肉よりも環境の影響を受けやすく、保管場所や保管状況によっては印影が色あせて薄くなることがあります。
※シヤチハタ株式会社は、上質紙などへの押印で、ファイルなどでの通常保管(直射日光があたらないなど)であれば、20年間は鮮明な印影を保持できることを確認しています。
参考: シヤチハタ株式会社 ネーム印|よくあるご質問
Q 紙に押した印影の保持期間はどのくらいですか?
シャチハタと印鑑はどのように使い分ける?
シャチハタと印鑑は、シャチハタを押してもOKな書類とNGな書類で使い分けるのが一般的です。
なお、シャチハタがNGな書類には、特別な指定がない限り「認印」を押せば問題ありません。
シャチハタも分類上は認印に該当しますが、公的な書類では原則不可とされており、認印として押印しても受け付けてもらえないケースがほとんどです。
また、ビジネスシーンにおいても、シャチハタがOKな場合とNGな場合があるため、印鑑との違いを理解したうえで正しく使い分けましょう。
シャチハタを押してもOKな書類 | 認印を押すのが一般的な書類(シャチハタNG) |
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- ※一般的な例であり、厳密なものではありません。
- ※法改正により、戸籍届書・年末調整などの行政手続きは、認印の押印が原則不要となりました。
- ※履歴書は、押印欄がなければ押印は原則不要です。
「印鑑を持ってきてください」と言われたら?
何かの手続きで「印鑑を持ってきてください」と言われた場合、どんな印鑑を持っていけばよいのか解説していきます。
基本的には「認印」を用意すればOK
「印鑑を持ってきてください」と言われた場合、一般的には朱肉を使う印鑑のことを指します。
シャチハタで問題ない場合もありますが、万一のこともあるため、さまざまな書類に対応できる認印を用意しましょう。
なお、実印や銀行印は使えないわけではありませんが、登録をしている印鑑は盗難や紛失、悪用されたときのリスクが高いためおすすめできません。
どこにも登録していない認印であれば、誰かに悪用される可能性も低く、一般的な書類全般に押せるためおすすめです。
「認印」と「シャチハタ」両方を用意しておくのもおすすめ
認印と合わせて、シャチハタも用意しておくと便利です。
1つ例を挙げると、飲食店の場合は日常的に荷物の受け取りや店内の清掃点検があります。
このときシャチハタがあれば、送り状や点検表に確認のサインをする手間が省けるのは言うまでもありません。
認印とシャチハタがあれば、業務のあらゆる場面で対応できるため、事務的にハンコを押す機会が多い方には特におすすめです。
認印・シャチハタを買うならコレ!人気&定番の商品
認印
【薩摩本柘】木の温かみを感じられるリーズナブル&定番の印鑑
柘の中でも高級品とされる、鹿児島県産の「薩摩本柘」を厳選使用しています。
適度な耐久性・捺印性があり、手になじみやすいところが魅力です。
また、価格帯もリーズナブルなため、はじめて印鑑を購入する方におすすめです。
薩摩本柘の詳細はこちら
【黒水牛】見た目・耐久性・捺印性のバランスに優れた漆黒の印鑑
水牛の角を加工した印鑑です。
深みのある漆黒の中で光沢を放つ見た目は、使う人の性別や年齢を選ばず、あらゆるシーンに対応できます。
また、耐久性や捺印性にも優れているため、長く・幅広く使用したい方におすすめです。
黒水牛の詳細はこちら
【ブラストチタン】トップクラスの捺印性と耐久性を誇る一生モノの印鑑
純チタンを使用したシンプルでスタイリッシュな印鑑です。
チタンは金属の中でも強度・耐食性・耐熱性・生体適合性に優れた素材のため、一生モノの印鑑として使用できます。
見た目・耐久性・捺印性すべてがトップクラスのため、普段から印鑑を使用する機会が多い方におすすめです。
ブラストチタンの詳細はこちら
シャチハタ
定番の9.5㎜・9㎜サイズと、小さめの6㎜サイズをご用意しました。
9.5㎜・9㎜サイズは、身近な書類全般に対応できる便利なハンコです。
6㎜サイズは、点検表などの小さい枠内にきっちり収めたいときにおすすめです。
まとめ
さいごに、シャチハタと印鑑の違いについて簡単にまとめました。
- 印鑑は朱肉を使うハンコで、シャチハタは連続押印が可能なスタンプタイプのハンコ
- シャチハタは大量生産品で同じ印影が複数あるため、本人が押したという証明性に欠ける
- シャチハタは押すときの力加減や劣化によって印影の形が一定ではなくなるため、公的書類や重要書類には適さない
以上のことから、本人の確認・承認の意思が求められる書類には印鑑、身近な書類への確認サインにはシャチハタというように使い分けましょう。